「よぉ兄弟、久しぶりだなぁ」
…と挨拶する間もなく死んでしまった
誇り高く品行下劣なおやぢ、
臭兄ィへの追悼(2)

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 「……作、おい、鬼作」
おっといけねぇいけねぇ、物思いにふけっちまったよ。
 「遺兄ィ、なんだい?」
 「そろそろ寝るとするからよ、見張り頼むぜ。」
 「ああ、分かったよ遺兄ィ。何時間交代だい?」
 「そんなもん決めてたら気持ちよく眠れやしねぇ。
  俺が起きるまで見張ってろ」
 「……わかったよ」

気持ちよく眠れやしねぇ?
また、なんともあンたらしい身勝手な理由だなぁ。
で、目が覚めたら「さっさと行こう」とか言うんだろ?
「おれの睡眠は?」とか文句言ったら、ぶん殴って言うこと聞かせるんだろ?

……けっ、もう寝付いちまったか。
どういう神経してンだろうね、この男は。
だけどよぉ、まぁ、おれとしては、この寝つきのよさは好都合だ。
たった今、あンたと別行動を取ることを決めた、おれとしては、な。

まぁ、腐っても兄弟だからよぉ、寝首は掻かないでおいてやるさ。
あンたの分の武器とバッグも、お情けで置いていってやるぜぇ。
おいおい、仏様みてぇじゃねえか、おれは。

じゃあな、遺兄ィ、いい夢見ろよ。


……臭兄ィ、おれは、またあンたから1つ学んだよ。
死んじまったら、女を抱くどころじゃねぇってな。
生き延びてやる。
臭兄ィの分まで生き延びてやるさ。

そのためにゃあ、まず、強いやつに取り入らなきゃなぁ。
なぁに、簡単簡単。
人をだまくらかして取り入るなんざ得意中の得意だし、
 「この島からの脱出法を知っている」
このハッタリの誘惑を退けられるヤツなんざ、いやしねぇさ。


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