誤解に始まり、悪意が加速させる。(4)
「くうっ!!間に合わなんだか……」
階段を上りきった魔屈堂とエーリヒが目撃したのは、まさにその瞬間だった。
「あきらめるな。気絶しただけかも知れん。とにかく倒れた少女の身柄確保を第一義に。」
エーリヒは感情的になりつつある魔屈堂を冷静にたしなめ、銃を構える。
―――アインとの距離、約10M。廊下の幅、約2M。
(この2人、この少女を助けようとしている?)
アインは2人の会話を聞いて、思案する。
―――和解可能。
判断を下したアインの行動は迅速だった。
からん。
唯一の武器であるスペツナズ・ナイフを、床に放り投げる。
そして、両手を上に。
「私に戦意はない。誤解が重なっただけ」
「なぜ、その少女に危害を加えた?」
「錯乱したから、気絶させた。怪我はない」
必要な言葉を、装飾なく、鋭角に伝える。
魔屈堂とエーリヒは、アインの態度と言葉、何よりも眼差しの真摯さを信じ、戦闘体勢を解いた。