協調と崩壊と(3)

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「!?」

まりなの目が見開かれるのと同時に―――
とさっ
何かが地面に落ちる。
―――泰男の、右腕だった物だ。
「ああっ、外しちゃいました!やっぱり精度ではイマイチですね」
何時の間にいたのだろう?二人から数メートルも離れていない所に、一人の少女が
立っていた。唯一普通の少女と違う所は、片腕がチェーンソーになっている所だろうか。
「(遠距離からの超高速移動……バトルモード!?)」
瞬間的にまりなは事態を把握した。
そして、いきなり自分が最悪に近い相手と会ってしまった事も。
「ああ、大丈夫です。次は一瞬ですから………」
にこやかな表情で語るナミ。一方、泰男は片膝をつき、次第に強まる痛みに耐えていた。
彼のタキシードが見る間に赤黒く染まってゆく。
「……あまり人間を舐めない方が良いわよ」
まりなは、自分の得物を手に取り、口元に持っていった。
「オジサマッ、目を閉じてッ!」
次の瞬間、まりなの手からそれは放たれ―――昼の明るさを放出した。
対人閃光手榴弾―――スタン・グレネード6個―――それがまりなに配給された得物だった。


数十秒後、ナミが集光カメラの視界を取り戻した時、二人の姿は消えていた。
不思議な事に、血痕すら残さずに……。


「……死なせないわよ……」
泰男の血痕を落とさないよう自分の服に吸わせつつ、まりなは泰男の体を支えて必死
に走っていた。
「……約束……したからね……」
その足は、全力で村落を目指していた。



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