薬指と薬指(1)

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(一日目 02:00)

「よかったです。神条さんのような、理性的な方と最初に出会えて。」
「そうですね、ボクも紫堂さんが平和主義者だと分かってほっとしましたよ。」
学生服を着たスマートな少年と巫女服をきた小柄な少女が、肩を並べて歩いていた。
神条真人(No.17)と紫堂神楽(No.22)だ。
2人から受ける印象は共に「生真面目」そして「優等生」だった。

彼らは先ほど波止場で出会い、お互い戦意が無いことを確かめたのち、行動を共にしていた。
「体は大丈夫ですか? 出発してからずっと動き詰めだったんでしょう?
 ちょっと休憩を入れたほうがいいのではありませんか?」
「お気遣いありがとうございます。
 しかし、こうしている間にも、誰かがどこかで望まぬ戦いを強いられているかもしれません。
 先を急ぎましょう。」
「紫藤さんはとても真面目なんですね。」
「堅苦しくて、申し訳ありません……」
「いえいえ、こちらこそ。
 他の人が大変なときに、自分たちだけ休憩なんて、自分勝手なことを提案してしまって
 恥ずかしい限りです。」
「いえいえ……」
……出会ってからずっとこんな感じで会話をしている。

「おや?」
真人が歩みを止め、闇の中に目を凝らす。
「どうされました?」
「いえ、あの倉庫のような建物のあたりで、何か動いたような……」
「誰かいるのでしょうか?」
「分かりません。確認してみましょうか。」
「そうですね。」
2人はその建物……漁具倉庫へと足を向けた。



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