11話(2)
(01:00)
どれぐらい走っただろうか?
紳一は島の南側の砂浜に来ていた。
「ぐがあぁぁ……」
周囲に誰もいないことに安心したその直後発作が紳一を襲う。
幼少の頃から体を蝕んできた病魔だ。
もがきながらも懐から薬の包みを取り出し服用する。
やがて発作は収まり紳一は自分を取り戻す、この薬を没収されなかったのは幸いだった。
没収されていたら自分の人生はここで終わっている、
そして恐怖も幾分和らいだのか紳一は出発地点の方を見て一言つぶやく。
「馬鹿馬鹿しい。 こんな所で死ねるか」と、
そう、まだ足りないのだ。
青き果実が。
早く、ここから帰り更に多くの果実をむさぼるのだから。
それだけだ。
そしてバッグをひっくり返して中身を確認する。
出てきたのは当面の食料と水、そして地図と時計。
武器は、武器はどこだ?
暗闇の中で手探りであるはずの武器を探す。
数分後に手に触れた物を取り上げようやく暗闇になれてきた目で「それ」を見る。
手の中にあったのは「必勝」と書かれたはちまきであった。
「ハハハ……」
あまりの阿呆らしさに思わず笑ってしまった。
いや、笑うしかなかった。
この様な物で何が出来るというのか。
そして、部下もいない状況とこの体で。