グレン様、出撃する(2)
ふと校舎の入り口を見ると、一人の少女がすやすやと眠っていた。
こんな異常事態の中、余程の強心臓だ。
なかなか可愛い少女である。A・B・Cで区分けすれば、Aランクには入るだろう。
ふむ。もしうまくいけば、弾よけにできる上、『お楽しみ』を味わえるかもしれない。
しかし、驚かしてしまっては意味がない。
ここはグレン様特有の安らぎの笑顔を浮かべながら話しかけなければ。
「ふはははははははははは!そこのレディー!この私、グレン・コリンズ様と一緒に・・・」
少女はまったくと言っていいほど起きる気配はなかった。
「あのう・・・お嬢さん?」
起きない。
「もしもし・・・これ、目を覚まさんか・・・」
起きない。短気なグレンは、切れた。
「こ・・・小娘ぇ!この最も高貴な私を無視し、居眠りを続けるとは!ただの猿の出来損ないの分際でぇぇぇ!
この私がいかに優れた存在か、その体にとくと味わらせてやる!あんぎゃああああああああ!」
グレンは少女に向かって一気に間合いを詰めた。
あと一歩(一触手?)、少女に触れられるというところで・・・校舎出口、左側から別の少女が飛び出してきた。
手には――ナイフを握っている!
目にもとまらぬ早業とは、この事をいうのだろう。
彼女はグレンの触手のうち、一本の先端を切断した。
「ぎ・・・ぎにゃーーーー!小娘共がぁぁぁぁぁぁ!許さんぞ!修正してくれるわぁぁぁぁぁ!」
グレンは触手の一本をその少女に叩きつける。
しかしあえなく、それも切り落とされてしまった。
「うげぇ!あいーーーーーーーーーー!わたわた私が、何をしたというのだぁぁぁぁぁぁぁ!」
ナイフの少女は、眠っていた方の少女を軽々と抱え上げると、あっという間に走り去ってしまった。
ついてない。誤解が積み重なって、貧乏くじを引いてしまった。
「な、なぜ私ばかりがこんな目にぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
グレンの絶叫が、むなしく校舎に響いた。