親父狸の皮算用(1)

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(一日目 0:26)

ゲーム開始が宣告された建物から、数分おきに人影が出てくる。
ある者は小走りに茂みに隠れ、またある者は悠然と歩を進め。
貴神雷贈(No.10)は、そんな彼らの流れを二重顎を震わせつつ草陰から見つめていた。


自分には戦闘力は全く無い、ならば部下が必要だ。
雷贈が第一に考えた事はそれだった。とにかく腕の立つ用心棒を雇う。
偽善的な台詞は原稿用紙100枚分でも言える自信があったし、何より彼には財産があった。
人間、誰しも欲がある。財力の前に自称「無欲の人」が屈するのを彼は何人も見てきたのだ。
ましてや、強欲な人間ならば……この状況だろうと心は動く。
雷贈の数十年に及ぶ裏の人生訓が語る、最大の訓示であった。
(さっきの連中の中に一人、ちょうどいい男がいました……)
一瞬で抹殺されたタイガージョーの死体に、眉一つ動かさなかった奴が数名。その一人。
顔を見るだけで分かる強欲さと単純さ。はっきりと覚えている。
(さあ、はやく出てきなさい……)



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