グレン様、目覚める

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ヴウウーーーーーーンンンーーーーーーンンン…………
突然鳴り響いた鐘の音で、グレン・コリンズ(No.26)は目を覚ました。
はて?パレードに酔いしれすぎたせいで、居眠りでもしてしまったか?
ゆっくりと辺りを見回す。
そこには、雑多な人間達が40人ほど身を横たえ、今の鐘の音で自分と同じく何人かは目を覚まそうとしていた。
頭の中に疑問が巻き起こっていく。
私は、なぜこのような場所にいる?
この者達は、何者だ?こんな薄汚いところで、私の生還パーティでもしてくれるというのか?
それにしては、不可解な面子だった。
少女、少年、汚らしいオッサンから中世の貴族が着るような衣服を身にまとった者、
果てはプロレスラーがつけるような虎のマスクをかぶっている者までいる。
ゆっくりと、だが確実に記憶が蘇ってくる。
月からやっとの思いで『グレン・スペリオル・V3』で脱出し、大気圏を突破して地球の海に不時着した。
残りの燃料で陸地にたどり着いたは良かったが、そこは建造物はあれど無人島。
しょうがなく泳いで海を渡ることにし、途中漁師に蛸と間違われて捕獲されそうになったりはしたが、
何とか人気のありそうな港にたどり着いたのだ。
それから・・・それから?
そこからの記憶が全くなかった。まるでぽっかりと空いた火山の噴火口のように、記憶が抜け落ちてしまっている。
ただ一つ覚えているのは、何者かに頭部を鈍器のような物で殴打されたということだった。
その時、部屋の一角からパチパチと拍手の音が聞こえた。
無駄に豪奢な椅子に腰掛けた男が皆を見渡している(本来ああいう椅子はこの私が座るものだ)。
あの男がパーティの主催者だろうか?
「お前達にはこれから殺し合いをしてもらう」
瞬間、グレンは自分の耳を疑った。
何?今なんと言った、この男は?
殺し合い・・・だと?
蕩々と男の説明は続く。
つまり、この無人島で、一人になるまで殺し合い――デスゲームをしろというのだ。
そして、その優勝者は男の仲間になれる。
こんな馬鹿な話があっていいものだろうか。
無理矢理拉致されたことや、殺し合いをさせられることに怒りを覚えたのではない。
下等で醜悪で卑猥で矮小で救いようのない人間ごときが、私に仲間になれとはいかなる了見だ。
無能な下等生物は、私に支配されてこそ初めて『神民』となれる。
このような輩に言われる筋合いはなかった。
一言苦言を弄そうとしたとき、急に虎男(虎のマスクをかぶった男をグレンはこう呼ぶことにした)が一喝して男に挑みかかった。
フン・・・やはり人間とは醜いものだな。
何でも暴力で解決しようとする。やはり私に支配されなくては。
そんなことを考えながら、グレンは虎男に期待してもいた。
この虎男があの尊大な男を倒してくれれば、無駄な事をしなくてすむ。
しかし、彼の甘い期待は一瞬でうち砕かれた。
虎男は凄まじい勢いで壁に叩きつけられ、即死したようだった。しかも、どういう方法でやられたかもまったく分からずに。
「あぎゃーーー!」
ついでに、壁際にいたグレンは瓦礫に押し潰されてしまった。



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