闇の獣と闇のデアボリカ(1)
(AM.0:00)
少女は薄暗い部屋で目覚めた後に、眼前で起こったことを見ても眉一つ動かさなかった。
目の前の男と渡り合うだけの力がいまの彼女にはある。
儀式を終え、墓守の獣として覚醒た彼女には。
「堂島薫を殺さなくちゃ。」
彼女は堂島を殺害するための獣であり、そのための儀式だったのだから。
彼女の存在に気付くことなく、反対側の壁際に堂島はいる。
相変わらず下卑た笑いを浮かべている。いま堂島を殺すことはたやすい。
問題は、他のものたちである。おそらく、堂島との戦いを始めれば、
ルールを聞いて敏感になっている他のものもわが身を守るための戦いを始めるだろう。
「私、お兄ちゃんにもう一度会いたいょ。」彼女には幼い頃から慕ってきた少年がいる。
もう一度、死ぬ前にもう一度彼に会っておきたい、そう思っていた。
だから、堂島を殺すのは、外に出てから。そう、決めた。