penalty

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(1日目 5:36)

 星川の首輪を通じて、双葉の首輪の破壊を知った主催者は、
 即座に星川に罰を下すことを決定した。
 それは罰というより、これ以上首輪を破壊されないための自衛手段だった。

 首輪から彼の体内に、極小の異物が進入する。
 麻酔物質にコーティングされたそれは、細胞の隙間を縫って上昇。
 ほとんど体を傷つけずに右目の視神経まで到達。
 束状に絡まる数多くの細胞、その数本だけを、異物は鮮やかに断ち切った。

  さぱっ。

「ん……」
 軽い立ちくらみを覚えた星川は、こめかみに手を当て、溜息を漏らす。
「どうかした?」
「ん〜、双葉ちゃんの可愛さにね、ちょっとクラっときただけ」
「バ、バカなこと言ってないで。先を急ぐわよ」

 星川は、自分の体の異変に気がつかなかった。
 「目貫」の核となる視力。
 その左右のバランスを崩され、正確な「目貫」が使えなくなったことに。



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