メイドさんもいっしょ(2)
(一日目 5:47 廃村西の小屋)
「アタシのアホッ!寝てる場合かッ!?」
「わあっ!?」
「きゃんっ!?」
突然叫んで跳ね起きた愛に、ちょうど様子を見ていたさおりとしおりは
揃って驚きの声を上げた。
「お姉ちゃん!」
「もうだいじょうぶなの!?」
「ああ、アタシは平気……アンタ達こそ、大丈夫だったみたいね」
二人に気付いた愛は、安堵の表情で言った。
「うんっ、ちょっと恐かったけど、私がんばったよっ!」
さおりの元気のいい返事に、思わず愛は彼女の頭を撫でる。
「そっか……ありがと(なでなで)」
「えへへっ……それに、クレアお姉ちゃんが助けてくれたの」
「……『クレアお姉ちゃん』?」
聞きなれない名前にきょとんとする愛。横のしおりが続ける。
「実は、お姉ちゃんが起きるのを待ってる間に……さおりが泣き出しちゃって……」
「あーっ!しおりお姉ちゃん、それ言わないでって言ったのにー!」
「ダメよさおり、お姉ちゃんに嘘ついちゃ。……で、それを気付かれちゃって……」
「な……それじゃ!?」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん!」
再び語気を荒げる愛を慌ててなだめるしおり。
「クレアお姉ちゃんはすっごく良い人なんだよ。ここにあるものを色々
探してくれたし、お姉ちゃんの看病もしてくれてたの」
「……看病?」
言われてみると、小屋の様子が少し変わっていた。
入った時には真っ暗だった小屋には小さいながらも蝋燭の火が灯され、
まだ夜明け前の室内をぼんやりと照らしている。
しかもご丁寧に外に光が漏れないように、窓には黒布まで付けられていた。
愛自身も、脱がせられない神のブルマーは別として、少し厚手の寝間着
に着替えさせられている。
それに、どこからともなく匂ってくるこの香りは……?
「あ、気付かれたんですね」
その時、小屋の裏口に当る扉が開いた。
エプロンドレスの似合う、栗色の髪の女性が顔を出す。
「……もうすぐ朝食の準備ができますから、少し待ってて下さいね。
裏にまきが残っていたので、火が起こせそうなんです」
「……あー」
その余りに自然な態度に、少し愛は面食らう。
「どうかしましたか?」
「あー、その、何か世話になったみたいね」
「フフッ、お互い様ですよ。私も一人で心細かった口ですから……。
一緒に行動する相手が欲しかったんです」
そう言ってクレアは微笑んだ。
「オートミールは食べられますか?」
「え?あっ、うん」
「良かった……配給された食糧だと、それくらいしか作れないので。
それじゃ、まだ休んでいてください……」
ぱたん。
そう言ってクレアは扉を閉じた。しおりが愛に尋ねる。
「ねっ、良い人でしょ!クレアお姉ちゃん」
「……え?ええ、そうね」
一瞬とまどいながらも、愛はしおりに笑って答えた。
(……あの女、何か一枚持ってそうね……しばらくは様子見かな……)