お姉ちゃんといっしょ(3)
「何よ、あんたたち」
常葉愛は、おびえる双子を道路の脇に避難させ、
袋を肩から下ろすと金属バットを構えた。
前に2人、後ろに1人。自分たちに逃げ道はないが、
相手はどいつも飛び道具を持っていないと思われる。
兄弟と思わしき男たちは、各々下卑た表情を浮かべながら、
じりじりと近寄ってきた。
「参考までに聞くけど、あんたたちがしたいことをいってみなさい」
「はぁ? こいつ、頭がオカシイのか。男と女がヤることといったら、
1つしかねぇだろ」
「つーまり! あたしとエッチなことしたいわけね!」
ビシっと人差し指を真っ直ぐに伸ばして、指摘する。
「お前だけじゃねぇ。そこで震えている、2人のガキもだ」
「ふん、この常葉愛様を相手に、いい度胸じゃない。
このナイスバディだけじゃ飽き足らず、発育不全のお子様にまで手を出そうたぁふてぇ野郎だ」
「お姉ちゃん、ひどいです」
「発育不全じゃないもん。発展途上なんだもん」
啖呵を切る愛に、味方側からブーイングが上がる。遺作たちがつかの間呆然とした隙に、
常葉愛は自分のブルマの中に手を突っ込んだ。
「あん?」
「こいつ、自分からオナニーしてやがる」
「誘ってるのか?」
もはや唖然とする男たちと双子を尻目に、愛は一心不乱にブルマを濡らす。
そして。
ブルマに充分な湿度が与えられたとき。
神のブルマは、その真の力を目覚めさせた。
「あんたたち、身を伏せて頭を抱えてな!」
「え?」
「は、はい!」
風が、巻き上がるようにしてブルマの少女を包む。
常葉愛のブルマが、金色に光った。
「うおおおっ」
「こ、こりゃ、なんじゃ――!!」
「死ね、この女の敵、痴漢ども! ブルマー衝撃波!!」
次の瞬間、音速の衝撃波が、周囲の男たちを吹き飛ばした。
「い、今のは……」
痛む身体に鞭打ち、遺作は何とか立ち上がった。
月の光の背景にして立つ、ブルマの少女の鋭い眼光が彼を射抜く。
彼はひっ、と悲鳴を上げると、武器のナイフを拾って一目散に逃げ出した。
もうこれ以上、一秒でも彼女の前にいたくなかった。
3人の男たちが逃げたのを確認して、常葉愛は緊張を解いた。
瞬間、身体中に鈍い痛みを感じて、呻き声を上げて地面に倒れる。
「お姉ちゃん!」
「だ、大丈夫?」
慌てて双子が駆け寄り、愛を助け起こした。
「だ、大丈夫だよ……これ、くらい………」
そういって笑うものの、それが強がりにすぎないことは双子にもわかった。
「ご、ごめんね……あいつら、とどめ刺しておかなきゃいけないのに……」
「いいよ、もういいよ、お姉ちゃん! とにかく、そこの小屋で休もう!」
まだ何かしゃべろうとする愛を遮って、双子は、泣きながら彼女の身体を引っ張る。
「うんしょ、うんしょ……」
「ごめん…ね……。あたし、本当は身体が……もう駄目なんだ……」
「さおり、もう少しだよ。うんしょ、うんしょ」
「どんなにがんばっても、20歳まで生きられないっていわれてるんだ……。
全身、もうボロボロなんだって……」
「しおり、小屋の扉開けておいて。うん、お姉ちゃんを支えてるから」
「ごめんね、ごめんねぇ……。思ったより…キツいなぁ……。
ひょっとしたら……あんたたち、最後まで守ること……できない…かも……」
「うんしょ、うんしょ、うんしょ。うん、このベッドの上に乗せよう」
「でも……がんばるからね……。はは、あんたたちに支えられているくせに、
エラそうなこといってるけど……。最後まで、あんたたちの為に戦うから……だから、そんな哀しい顔するなよ……」
双子の助けを得て何とかベッドの上に這い上がった愛は、
涙を瞳いっぱいに溜めた双子を抱きしめると、そのまま奈落に落ちるがごとく、意識を失った。